悲しいから泣くのか、前頭葉の働きが衰えたのか
今週のお題「卒業」
私は私立文系の大学生だが、塾講師をしている。塾といっても個別指導塾だ。
高校を卒業してから講師として働き始め、そろそろ3年が経つ。私の1年上の先輩達がこの春から社会人になる。
塾の仕組み上、講師同士が協同して仕事にあたることが多く、その中で仕事の仕方を覚えていくため、1年上の先輩は一緒に働くことも多かった。
3年間も一緒に働いてきた先輩が大学を卒業して、アルバイト先からいなくなってしまうというのは思っていたよりずっと辛く、のまれてしまいそうな寂しさを堪えている。
講師として初めての授業をした日に、講師室でどこにいればいいのかも分からなかった私に声をかけてくれた先輩が、
人見知りで人と仲良くなることも苦手な私に話しかけてくれて、他の講師との交流を広げてくれた先輩が、
初めてご飯に誘ってくれて、いつも優しく、私のどんな失敗も笑って受け入れて解決策を示してくれる先輩が、
自分のことを好きになれないあまりにやさぐれたことを言う私に「私と似ているね」と声をかけて肯定してくれた、仕事をてきぱきとこなす先輩が、
気の利いた答えも言えず、反応も悪い私のセンスを「好き」と言ってたくさん話しかけてくれた先輩が、
出勤すれば必ず誰かと冗談を言い合っていたのに、そんな日常が過去のものになってしまう。楽しい日々が遠くに行ってしまうようで悲しくてたまらない。
先輩達のうち、全員が遠く離れてしまうわけではない。会おうと思えばいつでも会えるはずだ。
でももう、生徒についてあれこれ話したり、一緒に授業以外の仕事をすることがなくなるのかと思うと今が名残惜しく感じて涙があふれ出てくる。
こんなに先輩達にかわいがってもらえたことも、敬語を使いながらもまるで上下関係がないかのようにふざけ合えるのも初めてだから別れがこうも辛いのだろう。
最近は就職活動のせいか、余計に自己肯定感がなくなっていていて憂鬱だ。
憂鬱さのせいで前頭葉の機能も衰えたのかなんだか涙もろくなった。
この涙は悲しいせいなのか、認知が歪んだせいなのか分からないが、悲しみを抜けた先に笑顔で内定を報告する自分がいることを願っている。