現実逃避

なりたい自分と求められる自分の狭間

人間レッスンは必修科目です(課外活動だけど)

お題「#おうち時間

 

ゴールデンウィーク明けから遠隔授業が始まり、大学も学生も試行錯誤しながら授業を進めている。急ごしらえの授業は案の定上手くいかないことばかりで、学生のフラストレーションもむくむくと大きくなっている。

思い通りに進まなかったり授業を受けられなかったりする事態に対して、学生からの講師に対する改善要求のみならず、一部の学生からは謝罪要求などが起きている。教授ではない非常勤講師からの謝罪に何の意味があるのだろうか。

 

そんな息の詰まるようなポータルサイトに毎日アクセスし、課題を提出する。前期全ての授業が遠隔授業になるとみて20単位以上分の履修登録をしてしまったため、毎日授業を受けては課題に取り組む日々だ。

初めは毎日異なることに挑戦し刺激的だった外出自粛も、大学が始まりルーティンができてしまうと途端に窮屈になる。

 

この窮屈さに嫌気がさして息抜きをしようにも、空きコマにできることはたかが知れている。ドラマを見ようと思い立ってNetflixで「梨泰院クラス」を見始めてそれなりに面白いと感じたが、特に強い印象も残らなかった。

「梨泰院クラス」で主人公側からその敵へと変身したチャン・グンスがGOT7のジニョンに時折似ているのが気になって調べてみたところ、グンスを演じるキム・ドンヒ*1が監督に演技の才能を見込まれて最新作では主人公を演じているという。

こうして見始めたのが「人間レッスン」だった。あっという間に最終話まで見てしまった。

youtu.be

 

簡単にまとめれば、このドラマは重い話好き大学グロ耐性有学部の学生の必修科目だ。

学校では優等生でありながら違法ビジネスで生計を立てるオ・ジスが、同じ優等生でも正反対のバックグラウンドを持つ同級生のペ・ギュリに仕事内容を知られ、パートナー関係を結んだことから堕落していく。

前半は"Skins"や"Hormones"のような、若者が若さゆえに過ちを犯し、その解決の過程で人生の酸いも甘いも知るストーリーのような印象を受けたが、やはりテーマの重さが桁違いだった。

 

人に知られてはいけないことを共有してしまったためにその輪が広がっていき、取り繕ろうとすればするほど穴が広がっていく。

後半はその穴がかなり広く深くなって、ジスとギュリの二人は身体的にも精神的にも追い込まれる。カットがかかった後に素に戻る姿が想像できないほどの二人の演技には息をするのも忘れてのめりこんだ。

 

このドラマは描写が過激でグロテスクなシーンも度々出てくる。この手の韓国ドラマが持つ湿り気と生々しさに対して二人の関係性は淡く描かれている。確実にひかれ合っていながらもつかず離れずの関係を保つのだが、二人の関係は肉体的には表現されていない。二人の言動や行動からうかがえる互いへの感情は、後ろめたさから強固にも見えて若さゆえに脆くも見える。

Netflixでのみ配信されているためか、言葉遣いも高校生らしく放送禁止用語が使われる。かわいい女子高生が口を開けば「シー〇ル」という、悪口の語彙が豊富だとされる韓国語の中でも最上級の罵倒語が飛び出す。このリアルさに「もしかしたら身近にも起きている出来事かもしれない」と思わされる。

 

重く救いのない話が好きで、グロテスクな描写をある程度許せる、精神状態の安定した人なら確実に見るべきだ。あまりに希望がなく暗い展開と結末だが、韓国ドラマにしては短い10話で展開も速いため後味は悪くない。

深読みもできそうな意味深な描写もあり、結末をはっきりと描かずに終わった続きをシーズン2で描くのではないか*2とも予想している。

 

あまりにも強い印象を残したドラマだったので、1周してすぐに感想を書いた。見逃した描写があったらと思うと惜しいのでもう一度見て来ようと思う。

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*1:一番驚いたのは彼がJYP所属だということだった。さすがJYP、好きな顔がブレない。

*2:「え、二人はどうなるの?」と思わせる幕切れは「このサイテーな世界の終わり」とも似ていて、Netflixオリジナルシリーズの常とう手段なのかもしれない。